建設業の労災事例

移動式クレーンの荷台から鉄骨を降ろす作業中、被災者が荷台から滑り落ちてきた鉄骨と近くにあった鉄骨の間にはさまれ死亡

      2022/09/09

【労災概要】

自社作業場で車両積載形トラッククレーン(吊上げ荷重3t未満、以下「移動式クレーン」という)を用いて、荷台から鉄骨を敷地内に降ろす作業を行っていた。

移動式クレーンは荷台に積まれた2本の鉄骨のうち1本(質量約1t/本)を吊り上げた状態で、運転席側の地面に設置された角材の上に鉄骨を降ろそうとジブを左旋回した。運転席側のアウトリガー(転倒防止のため車両両側に伸ばす支え)を張り出していなかったため、移動式クレーンは安定度を失い転倒した。移動式クレーンが転倒した際に荷台に残っていた鉄骨1本が滑り落ち、鉄骨が回転しないように手で押さえていた被災者は、すでに地面に置かれていた同型の鉄骨との間に胴体がはさまれた。

被災者はすぐに病院に搬送されたが、死亡した。

【原因】

①運転席側アウトリガーを最大まで張り出しをしなかったこと

②作業前にアウトリガーの最大張り出しの確認を行っていなかったこと

③上記1の結果として、定格荷重を超える質量の荷を吊ってしまったこと

④移動式クレーンの作業計画の作成を行っていなかったこと

⑤当日の作業開始前に、当日の作業に関する打ち合わせやクレーン作業における合図の決定、作業開始前のKY活動やリスクアセスメントなど必要な安全活動を行っていなかったこと

【対策】

①アウトリガーを有する移動式クレーンを用いて作業を行うときは、原則として最大までアウトリガーを張り出してからクレーン作業を行うこと

②アウトリガーを最大まで張り出しているかどうか、指差呼称等により確認し、確実に行うこと

③移動式クレーンを使用して作業を行うときは、荷の質量及び定格荷重を確認し、定格荷重を超える荷重をかける作業を行わないこと

④移動式クレーンの作業計画を作成し、現場入場者に対して周知すること

⑤作業開始前に当日の作業に関する打ち合わせやクレーン作業における合図の決定、KY活動やリスクアセスメントなど必要な安全活動を行うこと

【業種】

その他の建設業

【被害者数】

死亡者数:1名

 

出典:厚生労働省ホームページ(職場のあんぜんサイト:労働災害事例 (mhlw.go.jp)

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新築工事現場の浴室の防水工事の作業中、有機溶剤(トルエン)中毒となり入院

   

【労災概要】

本災害は、新築工事現場の浴室の防水工事で、塗料の塗布作業中に発生した。

被災者は新築工事現場の浴室の防水工事において、壁面にプライマーと呼ばれる塗料を手持ちのローラーを使用して塗布する作業を一人で始めた。他の職人が作業に訪れたところ、浴室内に溶剤臭が充満しており、被災者が倒れているところを発見した。被災者は病院に搬送され、「有機溶剤(トルエン)中毒、一過性意識障害」と診断された。2日間入院加療後に回復し、退院した。

【原因】

①使用していた塗料に、第2種有機溶剤のトルエンが49%、酢酸エチルが15%以上含まれていたこと。

②有機溶剤業務について、換気を行っていなかったことにより、塗料に含まれていた有機溶剤の蒸気が浴室内に滞留したこと。

③防毒マスクまたは送気マスクを着用して作業していなかったこと。

④事業主の有機溶剤の有害性についての認識が不十分であり、作業者に対する有機溶剤取扱い上の注意事項、中毒発生時における処置等の安全衛生教育を行っていなかったこと。

⑤有機溶剤作業主任者を選任しておらず、作業の安全についての検討がされていなかったこと。

【対策】

①屋内で有機溶剤を取り扱う業務については、窓等の開放を行うとともに、ブロアー等で強制換気等を行い、有効な保護具の使用を徹底すること。

②屋内作業において、有機溶剤を用いる塗装作業は有機溶剤作業主任者を選任し、ばく露防止のための換気方法、作業方法等を事前に検討すること。

③作業者に有機溶剤の中毒防止のための安全衛生教育を行うこと。

④元請は下請けに対して、有機溶剤中毒防止のための安全衛生教育、換気の方法、保護具の適切な選択と使用方法などについて、指導援助を行うこと。

【業種】

建築工事業

【被害者数】

休業者数:1名

出典:厚生労働省ホームページ(職場のあんぜんサイト:労働災害事例 (mhlw.go.jp)

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