建設業の労災事例

ドラグ・ショベルの積み込み時、荷台から転落しドラグ・ショベル運転士が死亡

   

【労災概要】

道路改良工事の土砂仮置き場で、ドラグ・ショベルを貨物自動車の荷台に積み込む作業をしていた。その際、道板や盛土などを使用せず、ドラグ・ショベルのバケットで貨物自動車の荷台を押して前方を浮かせて載せ、アームを180度旋回して後方の地面をバケットで押して後方も荷台に載せようとした。旋回中にドラグ・ショベルはバランスを崩し、後方に横転し、ドラグ・ショベルの運転者が投げ出された。被災者は、ドラグ・ショベルのヘッドガードと地面の間に頭を挟まれ、病院に救急搬送されたが、間もなく死亡した。

なお、被災者はシートベルトも保護帽も着用していなかった。

【原因】

①ドラグ・ショベルの転倒・転落等を防止するために、十分な長さ・幅・強度を有し、かつ適切な勾配を有する道坂・盛土・仮設台等を使用していなかったこと

②ドラグ・ショベルを用いた作業や搬入出を行うにあたり、作業場所の状況を調査し、使用する機械の種類や能力等に応じた運行経路等の作業計画をあらかじめ定めていなかったこと

③特定元方事業者および関係請負人の労働者が同一の場所で作業を行っていたにも関わらず、作業者間の連絡調整を行わないままドラグ・ショベルの移送作業が行われたこと

④ドラグ・ショベルの転落により運転者に危険が生ずるおそれがあるのに、運転者にシートベルトを使用させていなかったこと

⑤ドラグ・ショベルの運転者が、保護帽を着用していなかったこと

【対策】

①ドラグ・ショベルの移送を行う場合は、原則として専用の重機搬送車を使用すること。やむを得ず貨物自動車等を使用する場合は、ドラグ・ショベルの転倒・転落等を防止するために、十分な長さ・幅・強度を有し、かつ適切な勾配を有する道坂・盛土・仮設台等を使用することにより、安全な積卸しを行うこと。(ドラグ・ショベルを直接、貨物自動車等の荷台に乗り入れる方法による移送は行わないこと。)

②作業場所の状況を調査し、使用する機械の種類や能力等に応じた運行経路等の作業計画をあらかじめ定めること

③特定元方事業者において、その労働者および関係請負人の労働者の作業が同一の場所で行われることにより生じる労働災害を防止するため、作業者間の連絡調整を行うこと

④ドラグ・ショベルの運転者に、シートベルトの使用を徹底させること

⑤ドラグ・ショベルの運転者に、転倒等による危険に備え保護帽を着用させること

【業種】

道路建設工事業

【被害者数】

死亡者数:1人

 

出典:厚生労働省ホームページ (職場のあんぜんサイト:労働災害事例 (mhlw.go.jp)

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外壁改修工事中、乗っていた足場が倒れ、作業員5名が巻き込まれて負傷

   

【労災概要】

被災者は、建物の外壁改修工事のために設置された足場(高さ20.9m、長さ89m、枠組み足場11層、50スパン)においてシーリングの打ち替え作業を行っていたところ、昼食休憩のため足場を降りようとしたときに乗っていた足場が倒れ、巻き込まれて負傷した。(被災者5名、休業見込45日~2週)

【原因】

この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。

壁つなぎの強度について、「改訂風荷重に対する足場の安全技術指針」による検討結果では問題はなかったが、壁つなぎと外壁を接続する「エーエルシーアンカーAX(めねじ)」については強度が不足していたにもかかわらず他の接続方法を事前に検討しなかったこと。

災害のあった日の前日は、足場の設計風速(16m毎秒)を超える19.4m毎秒の最大瞬間風速が観測されているが、メッシュシートを畳む等の足場に対する風荷重の軽減措置を講じていなかったこと。

【対策】

類似災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。

① 壁つなぎと外壁を接続するアンカーについては、製造者の試験成績に基づいて風荷重の検討を行い、ALC板の経年変化を考慮して、壁つなぎの配置間隔を決定すること。数量を増やすことが出来ない場合は、他の接続方法を検討すること。

② 強風などの悪天候が予想されているときには、風荷重を軽減する措置を講じ、念のため足場における作業を行う時に作業開始前に点検を行い、必要がある時は補修を行うこと。

【業種】

建築設備工事業

【被害者数】

休業者数:5名

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