フォークリフトを運転中、曲り角で転倒し、運転者が死亡
【労災概要】
この災害は、フォークリフトを運転して移動中に発生したものである。
災害発生当日、職長Aおよび作業者BとCの3人は、工事現場に搬送する大型の掘削機械をトラックに積み込むための作業を資材置き場で行っていた。午前中は掘削機械をトラックの荷台に乗る大きさに解体し、午後、解体した機材を積み込むことにした。しかし、資材置き場に常備されているフォークリフトが他の作業で使用されていたため、敷地内の本社事務所のフォークリフトを借りることになった。
そこで、AはBにフォークリフトを取りに行くよう指示し、Bは本社事務所でキーが挿入されたままのフォークリフト(最大荷重3t)を運転して資材置き場まで移動中、建物の角で右折したところ、フォークリフトがスリップし、転倒した。Bは運転席から投げ出され、転倒したフォークリフトのヘッドガードの下敷きとなった。Bは病院に搬送されたが、死亡した。
Bは、フォークリフト運転技能講習を修了しておらず、AもBがフォークリフト運転の資格を持っていないことを知っていた。
また、転倒したフォークリフトは、毎朝の作業前にエンジンオイルと冷却水を点検していたが、タイヤはすり減っていて溝がなかった。さらに、月例検査、年次検査(特定自主検査)は実施されていなかった。
【原因】
この災害の原因として、次のようなことが考えられる。
1 フォークリフトの運転を無資格者に指示したこと
Aは、Bがフォークリフト運転技能講習を修了していないことを知りながら、Bにフォークリフトの運転を指示した。
2 フォークリフトの点検や整備が適切に実施されていなかったこと
転倒したフォークリフトを毎朝、作業前に点検していたが、タイヤがすり減っていて溝がないなど整備が適切でなかった。また、月例検査、年次検査(特定自主検査)を実施していなかった。
3 フォークリフトにキーが挿入されたまま誰でも使える状態で置いていたこと
【対策】
同種災害防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1 フォークリフトの運転は、資格者に行わせること
最大荷重1t以上のフォークリフトの運転は、フォークリフト運転技能講習を修了し、運転に必要な知識、技能を持っている者に行わせる必要がある。また、最大荷重1t未満のフォークリフトの運転は、フォークリフト運転技能講習またはフォークリフト運転特別教育を修了した者に行わせる必要がある。
事業場では、フォークリフト運転の資格者名簿等を作成し、管理者等関係者に周知するとともに、無資格者の運転は禁止する。
2 フォークリフトについて、月例検査および年次検査(特定自主検査)を実施するとともに、作業前の点検を適切に行うこと、また、点検、検査の結果、異常を認めた場合は、補修整備した後に使用すること
3 フォークリフトは、無資格者が使用できないように管理すること
運転者がフォークリフトを離れるときは、必ずキーを抜き、確実に保管し、無資格者が運転することのないようにする。
【業種】
建設業
【被害者数】
死亡者:1人
出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害事例 (mhlw.go.jp)
万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。
また、他にも労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。
本日も無事故で一日を終えられますように。
店舗のシャッターを修理中、はさまれて死亡
【労災概要】
この災害は、店舗の電動シャッターを修理中に、シャッターが突然降下し、作業者がはさまれたものである。
衣料品の小売店から「シャッターが下りなくなった」との修理依頼を受けたZ社では、翌日、社長AがB~Dの3人の作業者とともに現場に向かった。
現場に着いたAは、B~Dにシャッターに荷重をかけてシャッターを下ろすように指示し、作業を見守っていたが、シャッターは下りなかった。そこで、シャッターが下りない原因を調べるため、BとCはトラックの荷台に乗り、シャッター上部の点検口を開けて手動に切り替え、Dはシャッターの下部を調べていた。このとき、AはDにシャッターの下には行かないようにと注意をし、現場を離れた。
その後、Dがシャッターの下のレールに木の棒が噛み込んでいるのを見つけ、これを取り除いたところ、シャッターが自重(約400kg)で降下し、Dが床とシャッターとの間にはさまれた。Dは病院に搬送されたが、間もなく死亡した。
作業を開始するに当たり、Aはシャッターの状況を確認することなくB~Dに指示しており、作業計画書も作成していなかった。また、B~Dはいずれもシャッターの構造については詳しくなかった。
【原因】
この災害の原因として、次のようなことが考えられる。
1 シャッターの降下防止措置をしないまま、手動に切り替えたこと
シャッターの点検・修理作業を始めるに当たり、シャッターが自重で降下するおそれがあったにもかかわらず、これを防止する措置を講じないまま、手動に切り替えた。
2 シャッターの下への立ち入りを禁止しなかったこと
Aは、Dがシャッターの下に立ち入っているのをいったんは注意したが、立ち入り禁止の措置をしないまま、現場を離れた。
3 現場の確認をせず、また作業計画を作成しないまま作業を始めたこと
現場に到着したAは、故障の状況や周囲の状況を確認しないまま、また作業計画も作成せずに、B~Dにシャッターを下ろすよう作業指示した。
【対策】
同種災害防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1 降下のおそれがあるシャッターの下での作業では、降下防止措置を講じること
作業を始めるに当たって、作業個所をよく点検し、降下によりはさまれるおそれがある場合には、必要な降下防止措置を講じた上で作業を開始する。
2 降下のおそれがあるシャッターの下への立ち入りを禁止すること
降下により被災するおそれがあるシャッターの下へは、立ち入らなくても作業ができるように作業方法を工夫する。また、職長等、管理者・監督者を指名し、その者が作業中、危険な行動がないことを監視することも重要である。
3 現場の状況をよく確認し、作業計画を作成すること
故障の状況、周囲の状況等の現場の状況をあらかじめ確認した上で、具体的な作業計画を作成し、予想される危険に対して具体的な方策を定め、これを作業者に教育しておく。また、作業内容に応じて十分な知識や経験を持つ者を配置することも重要である。
【業種】
木造家屋建築工事業
【被害者数】
死亡者数:1人
出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害事例 (mhlw.go.jp)
万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。
また、他にも労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。
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