送水管敷設工事の覆工板開口部から墜落して死亡
【労災概要】
この災害は、送水管敷設工事現場において発生したもので、工事は、地中深さ26mの立坑を掘り、深さ25mに埋設されている送水管と深さ3mに埋設されている配水管を接続するための送水管等を新設するものであった。
災害発生直前、作業者Aは同僚の作業者とともに、移動式クレーンで立坑内へつり下げた鋼管を、地中深さ7.5mの立坑の途中の開削水平管路内にチェーンブロックで横引きする作業に従事していた。横引き作業の途中で移動式クレーンの玉掛け用具であるナイロンスリングが地上の覆工板開口部の縁に接近したので鋼管を仮置きする必要が生じ、塗装面の損傷を防止するために角材が必要になった。このため、Aは開削管路から移動はしごで地上に上がって角材を探し出し、移動式クレーンの合図者に角材を開削管路まで下ろすよう依頼し、自らは移動はしごで開削管路まで戻ろうと覆工板開口部に歩み寄ったときに足を滑らせ7.5m下の開削管路の床面まで墜落し、死亡した。
移動はしごは数日前にAら関係作業者が開削管路内に下ろして使用していたもので、脚は開削管路の床面に置き、先端は地上の覆工板開口部から28cm突出して、開削管路に番線で固定していた。
前日の作業打ち合わせおよび当日の朝礼において、この移動はしごの使用は禁止であり、開削管路と地上の移動には立坑内に設置された足場式通路のみを使用するよう指示されたが、作業者は遠回りになることから、移動はしごを架けて使用していた。また、現場監督者等もこの行為を黙認していた。
また、覆工板開口部の周囲には、作業者が墜落することを防止するための柵等は設けられていなかった。
なお、この工事現場では作業者に対し、安全衛生教育を実施していなかった。
【原因】
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1 移動はしごの上端が床面から28cmしか突出していなかったこと
2 移動はしごが架けられていた付近の覆口板開口部に、柵等の墜落防止措置が講じられていなかったこと
3 禁止されていた移動はしごの使用が黙認されていたこと
4 作業に必要な損傷防止の角材があらかじめ作業場所に準備されていなかったこと
5 作業の危険性等について安全衛生教育が行われていなかったこと
【対策】
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1 はしごは開口部床面から60cm以上突出させること
2 作業者が墜落するおそれのある開口部には、墜落防止のための柵等を設けること
3 地下の作業場所と地上との間に安全な昇降設備を設け、作業者にその使用を徹底するとともに、移動はしごは撤去し使用させないこと
4 作業の内容や手順について事前に検討し、作業で必要な資材はあらかじめ必要となる場所に用意しておくこと
5 作業に伴う墜落その他の危険性等について、安全衛生教育を実施すること
【業種】
上下水道工事業
【被害者数】
死亡者数:1人
出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害事例 (mhlw.go.jp)
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本日も無事故で一日を終えられますように。
路上設置型変圧器の取替え工事中に感電し、死亡
【労災概要】
この災害は、交通事故で損壊した路上設置型の変圧器(1次側6,600V、2次側210/105V)およびケーブル(3相の電線を1本に被覆したもの)を新しいものと取り替える工事において発生したものである。
災害発生当日、作業者Aは、班長Bおよび警備員と3名で現場に赴いた。前日までに損壊した変圧器本体の交換および変圧器の1次側コネクタと電力供給ケーブルの接続は終了しており、当日の午前中に、変圧器の2次側ケーブル2本のうち1本の接続を終了した。当日中には全ての作業が終了して通電が開始できる見通しとなったので、Bは電力会社の担当者Cに連絡をとり、午後の作業はCの立会いのもと午後1時半頃に始められた。作業は残りの2次側ケーブル1本の接続で、Bが午前中と同様に変圧器の1次側開閉器を開(切)にして、Aが変圧器の2次側ケーブルの接続を行った。30分ほどで作業が終わったので、AとBは休憩に入り、Cは帰社した。
その後、Bは、変圧器の1次側開閉器を閉(入)にして、変圧器から2次側ケーブルでつながれた低圧分岐箱の電圧を測定したところ、所定の電圧となっていなかったので原因を調査した結果、変圧器の1次側コネクタと電力供給ケーブルの相が違っていることが分かった。
そこで、電力供給ケーブルを接続し直すことにしたBは、Aに電力供給ケーブルをコネクタからはずす作業を指示した。Aがベルトレンチで1相目をはずし、続いて2相目をはずそうとしたとき、先にはずした1相目の電線に接触して感電した。Aは、病院に搬送されたが既に死亡していた。
災害発生当時、Bは変圧器の1次側開閉器を開にしていたが、この状態では電力供給ケーブルは活線のままであった。Aは、2次側ケーブルの接続作業では、高電圧用の絶縁用ゴム手袋を使用していたが、休憩時に手袋を外し、午後はそのまま電力供給ケーブルの接続し直し作業をしていた。また、Bは、Aが絶縁用ゴム手袋を外したまま作業するのを目撃していたが、停電作業であると勘違いしていたため、注意しなかった。
なお、Bは当日、現場に検電器を持ち込み、2次側ケーブルの接続作業では作業前に検電を実施していたが、電力供給ケーブルの接続し直し作業の前には、検電をしていなかった。
【原因】
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1 活線のケーブルを接続し直そうとしたこと
BがAに電力供給ケーブルの接続し直しを指示したとき、当該ケーブルは活線の状態であった。また、Bは開閉器の操作により停電作業になったと勘違いし、作業前の検電をしなかった。そのため、Aは電力供給ケーブルの接続し直し作業中に、はずした電線の充電部に触れて感電した。
2 絶縁用保護具を使用していなかったこと
Aは、午前中の2次側ケーブルの接続作業時には高電圧用の絶縁用ゴム手袋を使用していたが、休憩時に外し、午後はそのまま電力供給ケーブルの接続し直し作業を行った。また、Bは、Aが絶縁用ゴム手袋を使用せずに作業するのを目撃していたが、停電作業であると勘違いしていたため、注意しなかった。
3 電力供給ケーブルの接続作業後に接続結果を確認しなかったこと
この災害は、予定していたすべての作業を終了し、変圧器に通電を開始した後に発見された異常を解消する作業中に発生したが、前日までの作業の実施結果をその都度、確認していなかったために発生した。また、工事の発注者であり通電確認をした電力会社のCが各ケーブルの接続確認を行わなかったことも原因のひとつである。
【対策】
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1 作業前の停電への切り替えは確実に行うこと
ケーブルの接続作業等においては、現場の責任者が回路図等をよく確認し、作業を行うケーブルおよびコネクタの停電を確実に行う。また、作業前に検電を行い、作業を行うケーブルおよびコネクタが停電状態であることを確認することも重要である。
2 絶縁用保護具を必ず使用させること
高圧電路の作業等については停電状態で行うことが望ましいが、やむを得ず活線作業または活線近接作業を行うときは、作業者に絶縁用保護具を使用させる必要がある。また、停電作業を行う場合であっても、作業中に誤って開閉器が開くにされることもあるので、作業者には必ず絶縁用保護具を使用させること。
3 作業の終了の都度、結果の確認を行うこと
変圧器の取替え作業、ケーブルの接続作業等は、作業終了の都度、計画どおりに実施されていることを必ず確認する。とくに、ケーブルの接続は、相を間違えていないことを配線や端子の色等で確認する。
また、発注者である電力会社は、工事終了時に工事業者とともに作業の結果について確認のうえ、通電の手続きをとることも重要である。
【業種】
機械器具設置工事業
【被害者数】
死亡者数:1人
出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害事例 (mhlw.go.jp)
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