建設業の労災事例

木造平屋建築工事において、小屋組が据付け中に倒壊し、作業者が墜落

   

【労災発生状況】

この災害は、畜舎用の木造平屋建築工事中に、トラス構造の木製小屋組(屋根を支えるための骨組)が倒壊し、作業中の下請けの作業者4名が被災したものである。

建築物の広さは21m×14mで、軒の高さが4mであり、地上で組んだ小屋組を移動式クレーンでつり上げて桁上に据え付ける工事を行っていた。

つり上げた小屋組上で下請けの作業者5名が玉掛けの外し作業及び小屋組と桁との釘打ち等の接合作業を行っていたが、3本のトラスを組んだ小屋組を据え付ける作業中、玉掛けロープを外して2~3分後に突然小屋組が北向きに倒壊した。小屋組の倒壊とともに5名も墜落し、1名は床に飛び降り負傷を免れたが、他の4名は負傷した。

今回の工事では、事前に安全な作業について検討し作業計画を立てることをしていなかった。また、3本のトラスを組んだ小屋組は、トラスを製造した会社が定めた「施工要領書」に沿った作業手順書どおり組まれていなかった。さらに、作業を行うにあたり足場及び防網は設置しておらず、作業者は保護帽を着用していたものの安全帯は着用していなかった。

【原因】

この災害の原因としては次のことが考えられる。

1 安全に作業を行うための作業計画を立てていなかったこと

工事を開始する前に高所での小屋組据付け作業における危険性について検討しておらず、その結果に基づいた作業計画も立てていなかった。

2 地上で小屋組を組む際にトラス製造会社の定めた「施工要領書」通りに組んでいなかったこと

「施工要領書」には倒壊防止のため、小屋組に3本のトラスを組む段階で仮の筋交いを取り付けることとされていたが、今回の工事では組んだ小屋組のトラスに仮の筋交いを設けていなかった。このため、トラスは水平方向に作用する荷重に耐えられず倒壊したものである。

3 高所作業でありながら足場を組む等の墜落防止措置を構じていなかったこと

適切な作業床(足場)等がなかったため、建て方作業において5人の作業者が据付中の小屋組の上に乗って作業を行わざるをえなかったことから、小屋組に作業者の荷重(体重)が影響し、それが小屋組の崩壊につながったと思われる。また、被災者は墜落防止のための安全帯も着用していなかった。

【対策】

同種災害の防止のためには次のような対策の徹底が必要である。

1 工事を開始する前に危険性を評価し安全な作業計画を立てること

工事を開始する前、小屋組の倒壊による危険性を検討し、安全に関する措置を決定する。また、その結果を踏まえ使用する機械や労働者の配置等を定めた作業計画を立てることが必要である。

2 地上で小屋組を組む際には「施工要領書」に沿った作業手順を関係者に周知させること

小屋組をトラス製造会社の定めた「施工要領書」通り組み上げるよう関係する労働者に周知徹底させることが必要である。

3 足場等を設置し墜落防止措置を行うこと

高所で行う小屋組の設置作業においては、建て方作業を行う前に周囲に足場を組み立て(足場先行工法)、作業床を設置し作業を行うことが墜落災害の防止のために必要である。

 

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)

No.101114より一部抜粋

【業種】

木造家屋建築工事業

【被害者数】

休業者数:4人

 

万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。

また、他にも労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の 札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。

 

本日も無事故で一日を終えられますように。

 

 - 函館の建設業, 旭川の建設業, 札幌の建設業 , , , , , , , , , , , ,

ドラグ・ショベルで土止め用矢板を打ち込む作業中、矢板を押えていた作業者に激突

   

【労災発生状況】

この災害は、排水管を道路に敷設するため、ドラグ・ショベルで幅1m、深さ3.5mの溝を掘削し、土止め用の矢板を打ち込む作業中に発生したものである。
災害発生当日、排水管の敷設工事を請け負ったZ社では、現場責任者Aおよび4人の作業者B~Eが、朝7時半から会社事務所で打合せをした後、車で現場に向かった。
現場では、Aがクレーン機能付きドラグ・ショベルを運転して掘削作業を行った。
掘削作業が進むにつれて、道路に面した民家の塀が倒壊するおそれが出てきたため、Aの判断で他の場所に設置予定の矢板を土止め用に打ち込むことにした。Aがドラグ・ショベルを運転し、つり上げた矢板を正確な位置に下ろすため、Bが溝の中に入り矢板を手で押さえた。さらに、Bが矢板を押さえた状態で、Aはドラグ・ショベルのバケットで矢板の上端を叩き、矢板を地中に打ち込んだ。
この方法で3枚目の矢板を打ち込もうとしたとき、矢板が地中の石に当たり、矢板は地中に入らなかった。そこで、Aはさらに強く矢板の上端を叩いたところ、矢板が曲がり、矢板を押さえていたBを直撃した。Bは、すぐに病院に搬送されたが、間もなく死亡した。
当日は、矢板の設置作業が予定されていなかったため、現場には矢板打込み用の機械を用意していなかった。また、予定外の作業であったため、事前に矢板の転倒や折れ曲がりによる作業者への危険性について検討していなかった。

【原因】

この災害の原因としては次のことが考えられる。

1 ドラグ・ショベルを主たる用途以外の用途で使用したこと

当日は、矢板の設置作業が予定されていなかったため、現場には矢板打込み用の機械を用意していなかった。そのため、掘削用機械であるドラグ・ショベルを矢板の打ち込みという主たる用途以外の用途で使用した。

2 作業を開始する前に作業中の危険性について検討をしていなかったこと

予定外の作業であったため、事前に矢板の転倒や折れ曲がりによる作業者への危険性について検討をしないまま、作業に取り掛かった。

【対策】

同種災害の防止のためには次のような対策の徹底が必要である。

1 矢板の打ち込みに掘削用の車両系建設機械を使用しないこと
車両系建設機械を使用するときは、当該機械の用途と性能を確認し、適切な方法で使用する。

2 作業を開始する前に危険性を評価し、安全な作業計画を立てること
作業を開始する前にリスクアセスメントを行い、作業中に予想される危険性を評価し、安全に関する措置を決定する。その結果を踏まえ、作業手順や作業者の配置等を定めた作業計画を立てるとともに、作業の方法等について関係作業者に周知させる。特に、車両系建設機械を使用するときは、安全な使用方法について十分に検討する。
また、途中で作業計画を変更する場合は、安全なものとし、工事の責任者の承認を得る。

【業種】

上下水道工事業

【被害者数】

死亡者数:1人

 

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)

No.101115より一部抜粋

 

万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。

また、他にも労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。

 

本日も無事故で一日を終えられますように。

 - 函館の建設業, 旭川の建設業, 札幌の建設業 , , , , , , , , , , , , ,