建設業の労災事例

配管切断時の残留クロロジフルオロメタン漏洩による中毒

      2022/09/16

【労災概要】

空調機撤去作業において、被災者が天井裏に設置された冷媒配管を切断したところフロンガス(クロロジフルオロメタン)が噴出したもの。災害時、冷媒配管は空調機から取り外されていたが切断部分より先で閉止されていたため、切断部分にはフロンガスが充填された状態であった。天井裏に換気装置はなかった。ガス漏洩量は不明であるが、災害後に再稼動のために必要な量のガスを充てんしたところ、39kgであった。被災者はマスク等の保護具は使用していなかった。

【原因】

1 SDSの内容未確認

2 作業標準書・マニュアルの不備

3 緊急時マニュアル未作成

4 安全衛生教育不足

5 作業者の作業手順・指示等の不履行

【対策】

1 配管ごとの切断の有無について現場で表示を行い確認者を定めるなど、配管を切断する作業に係る作業手順書を作成し、同手順書に基づき安全教育を行うこと。

2 誤って配管を切断しフロンガスが噴出した場合の作業者及びその周囲の者に係る作業手順を定め、同手順書に基づき安全教育を行うこと。

3 フロンガスの危険性について、安全データシートを用いるなどして現場入場者に対し安全教育を行うこと。

【業種】

建築業

【被害者数】

休業者:1人

 

出典:厚生労働省ホームページ職場のあんぜんサイト:労働災害事例 (mhlw.go.jp)

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ヒューム管を切断中にエンジンカッターが跳ね上がり、研削刃の一部が被災者に接触して死亡

   

【労災概要】

排水管工事現場の掘削溝で、エンジンカッターを使ってヒューム管の切断作業を行っていた。ヒューム管は2回に分けて切断する必要があり、管の直径に対し半分ずつ切り込みを入れて行った。2回目の切断は、切り込みの角度がずれて1回目と合わなかったため、さらに管の下部(裏側)を切断する必要があった。

管の下部を切断する際、跳ね上がりが生じやすいエンジンカッターの研削刃の上部を使った。研削刃が切断物と切り口に挟み込まれてキックバックを起こし、跳ね上がった研削刃の一部が被災者の頸部に接触した。被災者の頸部から多量の出血があり、病院に搬送されたが間もなく死亡した。

切断幅が短かったため(約40cm)、切断物の下部に枕木を設けることができず、切断物は固定や支持がされていなかった。

【原因】

1 ヒューム管の下部を、エンジンカッターの跳ね上がりが生じやすい研削刃の上部4分の1で切断したこと

2 切断物を固定せず切断作業を行ったため、切断物が切り口を塞ぎ、研削刃上部を挟み込んでしまったこと

3 エンジンカッターの研削刃の延長線上に立って切断作業を行ったこと

4 エンジンカッターを使用した作業の危険性・有害性について、事前に調査が行われておらず、安全な作業を行うための指示がなかったこと

【対策】

1 ヒューム管を複数回に分けて切断する場合は、下部と側面の切断をすべて終えた状態で、最後に上部の切断を研削刃の下部4分の1で行うこと。エンジンカッターの跳ね返りが生じやすい箇所(上部4分の1)で切断作業をしないこと

2 切断物の下部に枕木を設置する等の措置を講じ、切断物を固定して支持すること

3 エンジンカッターが跳ね上がることを想定し、研削刃の延長線上には立たず、エンジンカッターを体の横に抱えた保持姿勢で切断作業を行うこと

4 切断手順や禁止事項等を記載した作業標準書を作成し、十分な安全教育を実施したうえで作業を行うこと

【業種】

建設設備工事業

【被害者数】

死亡者:1人

出典:厚生労働省ホームページ職場のあんぜんサイト:労働災害事例 (mhlw.go.jp)

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