建設業の労災事例

マンション外壁の吹付塗装作業中にコンプレッサーの排気により一酸化炭素中毒、その後死亡

   

【労災概要】

被災者は、鉄筋コンクリート造りのマンション新築工事現場内で外壁の吹付塗装作業中、使用していた内燃機関を有するコンプレッサーの動作が停止した。そのためコンプレッサーを使用していた室内へ行き給油作業を行っていた際、室内に充満した排気ガスに含まれる一酸化炭素を吸引し、意識を失って倒れた。別の作業者が発見したとき、被災者が使用していたコンプレッサーは停止しており、燃料タンクのキャップが外され、燃料計は満となっていた。被災者は救急搬送されたが一酸化炭素中毒によりまもなく死亡が確認された。

【原因】

1 完全に密閉された室内で、1時間以上コンプレッサーの運転を続けていたため、室内の一酸化炭素濃度は1200ppmを超える高濃度であったと推測される。被災者はその場に倒れたまま20分程度経過したことで、蘇生できなかったものと推測される。

2 自然換気が不十分な室内で、内燃機関を有するコンプレッサーを使用したこと。

3 作業者の一酸化炭素中毒に関する認識が低かったこと。

4 当該作業に関して、リスクアセスメントが実施されていなかったこと。

【対策】

1 内燃機関を有するコンプレッサーを室内で使用させないこと。やむをえずに使用する場合には、送風機を設置する等により十分な換気を行うこと。

2 建設業における一酸化炭素中毒予防のためのガイドラインに基づき、労働者に対して安全衛生教育を行うこと。

3 リスクアセスメントを実施して、リスク低減措置を講ずること。

【業種】

建築工事業

【被害者数】

死亡者数:1名

出典:厚生労働省ホームページ(職場のあんぜんサイト:労働災害事例 (mhlw.go.jp)

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移動式クレーンの荷台から鉄骨を降ろす作業中、被災者が荷台から滑り落ちてきた鉄骨と近くにあった鉄骨の間にはさまれ死亡

      2022/09/09

【労災概要】

自社作業場で車両積載形トラッククレーン(吊上げ荷重3t未満、以下「移動式クレーン」という)を用いて、荷台から鉄骨を敷地内に降ろす作業を行っていた。

移動式クレーンは荷台に積まれた2本の鉄骨のうち1本(質量約1t/本)を吊り上げた状態で、運転席側の地面に設置された角材の上に鉄骨を降ろそうとジブを左旋回した。運転席側のアウトリガー(転倒防止のため車両両側に伸ばす支え)を張り出していなかったため、移動式クレーンは安定度を失い転倒した。移動式クレーンが転倒した際に荷台に残っていた鉄骨1本が滑り落ち、鉄骨が回転しないように手で押さえていた被災者は、すでに地面に置かれていた同型の鉄骨との間に胴体がはさまれた。

被災者はすぐに病院に搬送されたが、死亡した。

【原因】

①運転席側アウトリガーを最大まで張り出しをしなかったこと

②作業前にアウトリガーの最大張り出しの確認を行っていなかったこと

③上記1の結果として、定格荷重を超える質量の荷を吊ってしまったこと

④移動式クレーンの作業計画の作成を行っていなかったこと

⑤当日の作業開始前に、当日の作業に関する打ち合わせやクレーン作業における合図の決定、作業開始前のKY活動やリスクアセスメントなど必要な安全活動を行っていなかったこと

【対策】

①アウトリガーを有する移動式クレーンを用いて作業を行うときは、原則として最大までアウトリガーを張り出してからクレーン作業を行うこと

②アウトリガーを最大まで張り出しているかどうか、指差呼称等により確認し、確実に行うこと

③移動式クレーンを使用して作業を行うときは、荷の質量及び定格荷重を確認し、定格荷重を超える荷重をかける作業を行わないこと

④移動式クレーンの作業計画を作成し、現場入場者に対して周知すること

⑤作業開始前に当日の作業に関する打ち合わせやクレーン作業における合図の決定、KY活動やリスクアセスメントなど必要な安全活動を行うこと

【業種】

その他の建設業

【被害者数】

死亡者数:1名

 

出典:厚生労働省ホームページ(職場のあんぜんサイト:労働災害事例 (mhlw.go.jp)

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