建築用資材の積み込み中、車両積載形トラッククレーンが横転
【労災発生状況】
この災害は、事業所が所有する建築資材置き場において、車両積載形トラッククレーンを用いて資材の積み込み作業を行っている際に、トラッククレーンが横転したものである。
災害発生当日、作業者AとBの2名は、建築資材置き場に保管していた建築資材をトラッククレーンに積み込む作業を行うため、車両積載形トラッククレーンで資材置き場に到着したが、置き場内に資材が散らかっていて、車両を駐車するスペースがなかったため、敷地に面した公道にトラッククレーンを駐車して資材を積み込むことにした。Bは敷地側(車両右側)にあるアウトリガーを全張り出しにし、積み込み作業を開始した。このとき、反対側(左側)は通行車両の邪魔になるため、アウトリガーを使用せず、トラックのタイヤで重量を支えている状態であった。
Bは、建築資材(重量1t)の玉掛け作業を行った後、Aとともにトラックの荷台に上がり、クレーンの操作を行った。つり荷を敷地側からつり上げ、荷台中央付近に降ろすため徐々にトラッククレーンの後方へ旋回していったところ、ジブが荷台の中心線を越えたあたりでトラック全体が公道側に傾き、そのまま横転した。このとき、AとBは、とっさに道路上に飛び降りたが、Aが負傷した。
Bは、玉掛け技能講習および小型移動式クレーン運転技能講習を修了していた。
災害が発生した資材置き場では、日常的に建築資材のトラックへの積み下ろしが行われていたが、クレーン等、積み下ろしのための設備はなく、車両積載形トラッククレーンを持ち込んで作業を行っていた。また、作業者には、クレーンの安全な操作方法などの安全衛生教育は実施されてなく、作業前ミーティングも行われていなかった。
【原因】
災害の発生原因として、次のようなことが考えられる。
1 建築材料をトラックに積み込んだり積みおろしたりするための専用設備がなかったこと
資材置き場では、日常的に建築資料の搬入・搬出が行われていたにもかかわらず、建築材料をトラックに積み込んだり積みおろしたりするための専用の設備がなく、車両積載形トラッククレーンを使用せざるを得なかった。さらに、当日は、資材置き場が乱雑で、車両積載形トラッククレーンの駐車・作業スペースが取れなかったため、車両積載形トラッククレーンを公道に駐車して、積み込み作業を行った。
2 アウトリガーを片方しか張り出さずにつり上げ作業をしたこと
車両積載形トラッククレーンを駐車した公道を通行する車両の邪魔にならないよう敷地側のアウトリガーしか張り出さなかったため、つり上げた荷がトラックの荷台上で振れたときにバランスを失い、トラックが横転した。
3 作業者に安全衛生教育を実施していなかったこと
作業者に対し、クレーンの取扱等に関する安全衛生教育を実施しておらず、作業者に安全な作業方法が周知されていなかったため、誤った方法で作業した。
【対策】
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1 建築材料をトラックに積み込むための専用設備又はスペースを設けること
日常的に建築資材の積み下ろし作業を行う資材置き場では、建築材料をトラックに積み込むための専用の設備を設けるようにする。これが難しい場合は少なくとも、敷地内を整理・整頓し、トラックを駐車し作業するためのスペースを常に確保しておくことが必要である。
2 アウトリガーは左右とも張り出して、つり上げ作業を行うこと
クレーンのアウトリガーは、左右とも張り出した状態で、つり上げ作業を行う。なお、公道にクレーンを駐車して作業を行う場合には、監視人を置き、周囲の安全に配慮することも必要である。
3 作業者に安全衛生教育等を実施すること
作業者に対し、クレーンの取扱等に関する安全衛生教育を実施するとともに、作業内容と作業手順をあらかじめ勘案し、安全な作業のための作業手順書を作成し、これを作業前ミーティング等で確認することが必要である。
【業種】
木造家屋建築工事業
【被害者数】
休業者数:1人
出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)
No.101027より一部抜粋
万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。
その他労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。
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土止め支保工の近くに張り出したアウトリガーが沈下し、移動式クレーンが転倒
【労災発生状況】
この災害は、公園内の建設作業現場において、移動式クレーンを用いて鉄筋束の搬入作業を行っている最中に発生した。
災害発生当日、クレーン運転士Aは、アスファルト舗装された遊歩道上に移動式クレーンを設置し、トラックで搬入された1束約800kgの鉄筋のつり下ろし作業を行っていた。3回目の作業で鉄筋の束を所定の位置に下ろした直後、前方のアウトリガーが地中に沈み始め、そのまま移動式クレーンは横転した。このときAは、変形した運転席でからだをはさまれて負傷した。
現場では、掘削作業が同時に行われており、土止め支保工から1mの距離に移動式クレーンの前方のアウトリガーが張り出されていた。アウトリガーは厚さ9cm、縦横50cm角の硬質プラスチック製の敷板の上に張り出されていたが、災害発生後、アウトリガーが張り出されていた遊歩道のアスファルト舗装は、ひび割れており、また、土止め支保工で用いられた矢板が倒れて土砂が流れ込んでいた。
工事計画書は元請が作成していたが、鉄筋束の搬入作業と掘削作業は同時に行われることになっていた。また、周囲は雑木林と建物になっており、ほかに鉄筋束の搬入場所を確保することは困難であった。
【原因】
この災害の原因として、次のようなことが考えられる。
1 地盤が崩壊しやすい場所に移動式クレーンのアウトリガーを張り出したこと
移動式クレーンのアウトリガーは、遊歩道のアスファルト舗装の上に張り出していたが、近くに掘削工事現場があり、舗装下の土砂がアウトリガーからの圧力で土止め支保工側に流出したため、舗装地面ごとアウトリガーが沈下した。
2 クレーン作業と掘削作業が同時に行われる工事計画であったこと
元請が作成した工事計画では、もともと移動式クレーンによる鉄筋束の搬入作業と掘削作業が同時に行われることになっていた。また、移動式クレーンの設置場所は、周辺が雑木林と建物であることから掘削現場の近くにしか確保できない状況であった。
このため、上記1の状態で移動式クレーンを使用する結果となった。
【対策】
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1 崩壊のおそれがない堅固な地盤に移動式クレーンを設置すること
移動式クレーンの設置に際し、予め地盤の状況を入念に確認することが必要である。
建築土木の現場では、工事の進展に伴い、掘削や埋め戻しにより地盤の状況が変化するので、以前に移動式クレーンを設置して安全に作業できた場所でも、再度、沈下するおそれがないことを確認する。
2 周辺の状況や予定される作業内容を事前に確認し、安全に作業できる工事計画を作成すること
周辺の状況や予定される作業内容を事前によく確認した上で安全に作業を行うことができる工事計画を作成する。特に、同時に行うことで新たな危険が生じるような作業を同時並行させない等、安全に配慮することが重要である。
【業種】
建築工事業
【被害者数】
休業者:1人
出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)
No.101029より一部抜粋
万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。
その他労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。
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