建設業の労災事例

鋼管骨組みから防護シートを取り外す作業中に墜落し死亡

   

【労災発生状況】

この災害は、6階建て鉄筋コンクリート造りのビル解体工事において、防護シートの取り外し作業を行っているときに発生したものである。

災害発生当日、予定されていた作業内容は、鋼管を組み合わせて作られた「骨組み」から防護シート(防じん・防音用シート)を取り外す作業と「骨組み」を解体する作業であり、防護シートの取り外し作業を請け負った3次下請の作業指揮者Aおよび作業者B~Eの計5人により作業が始められた。

Aは、C~Eに「骨組み」に上って防護シートを取り外す作業を、Bに地上で防護シートを受け取る作業をそれぞれ指示し、A自身はC~Eとともに「骨組み」に上って防護シートの取り外しに取り掛かった。まず南面の防護シートの取り外しを終え、次に東面の作業に取り掛かって間もなく、Bが「骨組み」に上ってC~Eの作業を補助しているのを見つけたAは、Bに地上に戻るよう指示したところ、その直後、Bは足を滑らせて約8m下の地上に墜落した。Bは直ちに病院に搬送されたが、死亡した。

当日、ビルはすでに解体されており、防護シートを取り付けた「骨組み」が工事現場を囲うように設置されていた。解体されたビルと周辺の建物との間隔が狭かったため、元々、足場ではなく鋼管を組んだだけの「骨組み」として設置されており、防護シートの取り外し作業が1日のみであったため、足場の設置等、墜落防止措置が講じられない作業計画になっていた。

また、Aは、「骨組み」に上って作業する際に安全帯を使用するよう指示しておらず、A~Eはいずれも安全帯を着用していたが、Bはこれを使用していなかった。

【原因】

この災害の原因として、次のようなことが考えられる。

1 足場の設置等の墜落防止措置が講じられていなかったこと

高所で防護シートの取り外し作業を行っていたにもかかわらず、足場の設置、安全帯の使用等の墜落防止措置を講じていなかった。

2 作業指揮者が安全帯の使用を徹底していなかったこと

作業者は安全帯を着用していたが、作業指揮者Aは安全帯の使用を徹底せず、安全帯の使用は作業者まかせとなっていた。そのため、安全帯を使用していなかったBは、足を滑らせた際にそのまま8m下の地上に墜落した。

3 安全衛生管理が不十分だったこと

災害が発生したビル解体工事現場は、元請、1次下請、2次下請、3次下請の重層請負体制となっており、防護シートの取り外しの作業を足場を設置せず、安全帯の使用も徹底しないで実施する作業計画とする等、安全衛生管理が十分に機能していなかった。また、作業指揮者の指示や監督も不十分であった。

 

【対策】

同種災害防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 高所作業を行う際には足場の設置等の墜落防止措置を講じること

防護シートの取り外し作業等、高所作業を実施する際には、足場を設置して作業を行わせることが原則であるが、これが困難な場合には、安全帯を使用できる設備を整備するとともに、作業者に安全帯の使用を徹底する必要がある。

2 安全衛生管理を十分に実施できる体制とすること

重層請負体制となっている工事現場では、安全管理の指揮、監督権限を有する者を明確にし、作業における安全衛生管理体制を確立したうえで、元請が指導して、作業における具体的な安全衛生管理上の措置を徹底することが重要である。

【業種】

その他の建築工事業

【被害者数】

死亡者数:1人

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)

No.101111より一部抜粋

 

万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。

また、他にも労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の 札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。

 

本日も無事故で一日を終えられますように。

 

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作業構台を撤去する作業において、高さ4.5mのH鋼上を歩行中に墜落

   

【労災発生状況】

この災害は、工事が終ったトンネル工事現場において、資材置き場として使用していた作業構台を撤去する作業中に、作業構台下の梁の上を歩行中の労働者が墜落し死亡したものである。

この作業構台は、山の斜面に柱を垂直に立て、その柱に斜面から水平に延ばした梁を架け、梁と梁の間に鋼板を設置した構造で、この作業構台の上には、資材置き場のほか、作業者の休憩所や便所が設けられていた。

災害発生当日、作業構台の撤去作業を請け負ったZ社の現場責任者Aおよび作業者B~Eの5人は、作業構台下の石積みの撤去作業を朝から行っていた。昼食休憩後に行われた元請の現場所長Fと各下請の現場責任者によるミーティングでは、午後は午前中の作業を継続すること、翌日は足場を組み便所の汚水配管を撤去することなどの作業工程を確認した。

午後の作業を開始して間もなく、作業場所を巡回中の元請の現場代理人Fは、Z社のBに対して直接、翌日に足場を組み配管を撤去する計画であることを話した。これをBは直ちに配管撤去を行うと勘違いし、さらにBから話を聞いたCは1人で、作業構台脇にあった階段から手すりを乗り越えて地上より約4.5mの高さに水平に張った梁(幅30cmのH鋼)に飛び乗った。そして配管に向かって歩行中、バランスを崩して墜落した。Cは病院に搬送されたが、死亡した。Cは、保護帽および安全帯を着用していたが、Cが墜落した梁には安全帯を使用するための設備はなかった。

また、ミーティングに出席したZ社の現場責任者Aは、翌日の配管撤去作業を確認していたが、作業計画はまだ作成しておらず、B~Eの作業者に対しても具体的な作業方法を説明していなかった。

【原因】

この災害の直接原因は、Cが墜落防止措置のない梁の上を歩行したことであるが、これを引き起こした要因としては次のことが考えられる。

1 立入禁止措置が不十分であったこと

Cが墜落した梁は、通常の作業では立ち入ることがなかったにもかかわらず、作業構台脇にあった階段から手すりを乗り越えて容易に立ち入ることができた。

2 元請と下請との連絡体制が不十分であり、明確な作業指示のないままに、作業を開始したこと

元請の現場代理人Fは、ミーティングで下請の現場責任者Aに指示したほか、現場の作業者Bにも直接話をした。その話の内容を勘違いしたBはCに伝え、現場責任者Aからの作業指示がないままCが作業を開始した。

3 不安全行動の防止を含めた安全衛生教育がなされていなかったこと

現場の作業者に対し、危険な場所への立入禁止、現場作業者の指示に従って行動すること等の内容を含めた安全衛生教育を実施していなかった。

【対策】

同種災害の防止のためには次のような対策の徹底が必要である。

1 危険場所への立入禁止措置を行うこと

墜落等の危険のある場所には、作業者が容易に立ち入ることができないよう、立入禁止の柵を設けるとともに、「立ち入り禁止」の表示をする。

2 元請との連絡調整を適切に行い、工事を開始する前に、安全に配慮した作業計画を作成すること

元請からの指示は、現場責任者が受け、他の作業者に指示するようにする。

また、元請や発注者からの急な指示で計画外の作業が発生した場合には、現場責任者が作業計画を見直し、必要に応じて変更し、足場を組み立てる等の安全対策を講じた上で、作業者に指示する。安全が確認できない場合、店社または元請と協議して対応をとる必要もある。

3 現場の作業者に対し、安全衛生教育を徹底すること

高所作業での危険性の認識や不安全行動の防止に関する安全衛生教育を実施する。また、作業者の危険性への感受性を高めるためのKY活動等の導入も検討する。

【業種】

トンネル建設工事業

【被害者数】

死亡者数:1人

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)

No.101113より一部抜粋

 

万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。

また、他にも労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の 札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。

 

本日も無事故で一日を終えられますように。

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